奈良県、いや日本屈指のパワースポットである神体山・三輪山の麓から、古代より神奈備山として信仰の対象となっていた御蓋山の麓まで、奈良盆地の東側を南北に走る古道・山の辺の道。そんな日本最古の道ともいわれている山の辺の道の中程にある檜原台地の上に、今回紹介する檜原神社がひっそりと鎮座しています。
日本最古の道・山の辺の道
奈良県桜井市にある檜原神社は大神神社の摂社にあたり、本社である大神神社から山の辺の道を約2kmほど北上したところにあります。
檜原神社の近くには、平安時代の高僧・玄賓の隠棲地であり謡曲「三輪」の舞台としても有名な玄賓庵や、丹念に奈良の風景を撮り続けた高名な写真家・入江泰吉が撮影した「山邉道」と記された石碑などがあり、山の辺の道の中で最も古代の息吹を感じられる一帯だと思われました。
全国的にも珍しい三ツ鳥居がある神社
檜原神社は本社である大神神社と同じく三輪山を神体としているため本殿など社殿はありません。しかし、この檜原神社には全国的にもとても貴重な三ツ鳥居があることでも知られています。
三ツ鳥居は中央の鳥居の両脇に小さな鳥居が組み込まれた、何やら秘密めいた特異な形状をしていますが、由来についてはほとんど分かっていないとのこと。別名を三輪鳥居ともいうことから、大神神社と何かしら関係性があるのかもしれませんね。
本社である大神神社にも重要文化財に指定されている三ツ鳥居があるのですが、拝殿と禁足地との境界線上にあるため、特別な申し込みをしないと拝観することはできませんが、檜原神社の三ツ鳥居は誰でも自由に拝観できます。
元伊勢伝承
天照大神が現在の伊勢神宮(内宮)に鎮座されるまでの間、各地を放浪し一時的に鎮座された場所のことは「元伊勢」と呼ばれているのですが、伝承によるとその一つがこの檜原神社だとのこと。もちろん御祭神も伊勢神宮(内宮)と同じ天照大神です。
かつて天照大神は宮中で祀られていたそうなのですが、第10代・崇神天皇の御代に疫病が蔓延したことから、崇神天皇は皇女・豊鍬入姫命に天照大神の神霊を託し「倭倭笠縫邑」に祀らせました。その倭笠縫邑が檜原神社であったというのです。檜原神社の境内には「倭笠縫邑」と書かれた案内柱や、三ツ鳥居の脇にある豊鍬入姫命をお祀りした豊鍬入姫宮が鎮座しています。
太陽の道?
秘密の聖地と言わんばかりに三輪山の麓にひっそりと鎮座する檜原神社ですが、春分・秋分の日前後には多くのカメラマンで賑わいます。カメラマンのお目当ては檜原神社という訳ではなく、檜原神社の入り口にある鳥居正面から見える、二上山の雄岳と雌岳の間に沈む夕日。
檜原神社と二上山との関係はこの幻想的な光景だけでなく、「太陽の道」と呼ばれる古代太陽信仰によるつながりがあるとの指摘もあります。いわゆるレイラインと呼ばれるもので、北緯34度32分線上に檜原神社や二上山、長谷寺や室生寺などのパワースポットが一直線上に並んでいるというのです。太陽の道と呼ばれるレイライン説については、あくまでも仮説の域を出ませんが、何ともロマン溢れる壮大な話ではありませんか。
秘密のパワースポット
人気パワースポットである大神神社の摂社であるにも関わらず、少し離れているせいか参拝者の方もほとんど見かけることがない檜原神社。しかし、筆者が訪れた早朝の時間帯には三ツ鳥居の前に朝日が神々しく降り注ぎ、誰もない境内はとても静謐な雰囲気で包まれていました。
有名なパワースポットと呼ばれる場所は、参拝者の方で溢れかえりゆっくり落ち着けないことも多いのですが、ここ檜原神社は少しマイナーなせいか参拝者の方もほとんどおられず、ゆったりと過ごすことができるので、「私だけしか知らない秘密のパワースポット」のような空間を求めている方にオススメです。
檜原神社
所在地:奈良県桜井市三輪1422
URL http://oomiwa.or.jp/
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