音声や言語、その他の絵画、音楽といった表象的伝達手段を介することなく相手に意志を伝えることができる、意識レベルで可能な伝達方法を、テレパシーと言います。色々な理解の仕方があります。霊的な作用と考える方もいますし、超能力ととらえる方もいます。
どんな理解の仕方であれ、意志の働きだけで思いを伝えることができるという点は変わりません。
一般的にはESP(超感覚的知覚)能力の一つと考えられていますが、実際にこの能力を感じ取ることができた人も大勢います。そうしたことから、人間には本来超感覚的な知覚が備わっていたけれど、文明の発達の中で前述したような表象的手段にとって代わられ、徐々にその能力を失っていった、あるいは弱まっていったと考える人もいます。そうした思考の延長線上であれば、超感覚的知覚は、今でも誰の中にも潜在していて、何かの弾み、あるいは訓練を経て、個人の能力として発現する可能性もあるということになります。
こうした能力を、霊的な働きととらえる方もいますが、無理があります。幾つか理由はありますが、3点挙げてみます。
- 死者との対話は、テレパシーとは言わない。テレパシーはあくまで人あるいは動物、植物といった実在する者同士の意思疎通手段。
- 霊的存在があったとして、テレパシーを通じて意識を疎通する理由がない。霊的存在からのメッセージはテレパシーとは異なる。
- 霊的な存在自体の実在性が、確定していない。
ざっとこんなところです。
テレパシーは、あくまで意識の伝達手段なのであって、死者や神仏のメッセージとは別物です。
さて、テレパシーのメカニズムですが、具体的にはまったくわかってはいません。
筆者は、若い頃に自分の長距離恋愛中の彼女とテレパシー実験を行ったことがあります。1980年代の事です。
当時、実際会いに出かければ一度で4万円程度の出費になり、電話代も月数万円にもなることから、テレパシーで思いを伝えようと、真剣に試みたのです。結果的には8割の確率で意識は伝達できました。
ただし、複雑な内容は無理で、俗にいうESPカードのマークを送り合うといった程度の事で、愛を語ることなどは到底無理な相談でした。それでも単語程度なら、本当に8割方相手に届きました。そのことが彼女との結婚を急がせました。もっと言えば、それまで付き合ったどんな女性よりも、無言での意思疎通ができていました。それこそが、誰もが感じることのできるテレパシーの具体例だと、筆者は思っています。
近年になって、超能力に対する量子論的なアプローチが盛んです。
テレパシーに関しても、量子論的アプローチが行われています。テレパシーの一つの解として「量子もつれ」が考えられています。この概念は、正直難しいもので現状説明不可です。興味があれば、ご自身でアプローチしてみてください。
ただひとつだけ、量子論とは無関係かもしれませんが、考え方として面白いと感じているものがあります。それは波動です。
ラジオやテレビもそうですが、周波数帯が同調することで相互に音声や映像が共有できます。このメカニズムは生体のメカニズムとしても考えられるのではないでしょうか。
次回、もう少し掘り下げてみたいと思います。
ライター紹介
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- 加藤久明
- 1949年7月、島根県松江市生まれ。早稲田大学文学部中退。大学入学と同時に商業劇団に入団。20歳までに自分の劇団を立ち上げるが、24歳で出版の世界に。「主婦と生活社」で当時珍しかったMOOKを制作したのを皮切りに、廣済堂「マネーライフ」「週刊時代」などの編集者となる。27歳でRock Magazin「ロッキンF」の副編として4年間活動。以降フリーランスの出版プロデューサーとして今日に至る。関わった月刊誌、週刊誌は数多。編集長として制作した雑誌も3誌、プロデュースした単行本も数十冊、自身の著作も数冊ある。その間に、超常現象などの不思議世界に興味を持ち、矢追純一、五島勉、韮澤潤一郎などにアプローチ、話を聞く機会を得た。個人的に超常・神秘現象などへの興味を深め、今日に至る。